契約書に署名する前に
契約書をめぐるトラブルは尽きません。
弁護士は、多くの契約書の問題に出会いますが、
一番多い問題は、
「あるべき契約書がない」
という問題。
・不動産の賃貸借
つまり、貸主が誰で、借主が誰で、どの期間、賃料いくらで借りているのか
不明なケースはよくあります。
・業務委託、請負、雇用
土木、建設、内外装等の工事関係、IT、情報成果物、飲食、店舗販売、
など様々な業界でみられますが、誰かに何かを注文したり、請け負わせたが、
その代金や内容がよくわからない、というケース。
雇用の場合は、労務管理の問題にもなり得ます。
・継続的な売買、製造物の供給
卸売業、商社、メーカー、建設、フランチャイズ、音楽・出版などで見られますが、
継続的な取引を合意しているのだが、その内容や時期や終了条件等が不明なケース。
・共同事業
共同で事業を立ち上げたり、研究開発、取引を始めたが、その内容な終了条件が
不明なケース。もっとも、合意自体があいまいなままスタートされるケースも
多いと思います。
・お金の貸し借り(特に貸している側)
多額のお金を貸しているのだが、証拠がないケース。結構見受けられます。
契約書があるのとないのとでは、その後の交渉や裁判の展開が大きく異なります。
次にある問題は、
「契約書の内容が一方に不利」という問題
弁護士が契約書をみると、そのまま素通り、というのは少ないです。
何か所かは、検討すべき課題があり、また、たいてい1か所は絶対に
修正すべき箇所がみつかります。
・不動産売買
不動産売買の場合、仲介業者が入ることが多い上、
登記手続を行うため、契約書がないということは稀ですが、
契約書の中身が、一方にとって不利な内容になっていることはあります。
・取引基本契約
売買や、請負などに多いのですが、そもそもの基本契約が、大企業有利に
作られているケースは多いです。
独占禁止法、下請法などによって対抗できる場合もあります。
・コンサルティング、開発委託
コンサルティングや開発委託も、一方に有利にされている場合が多いです。
・投資、消費者被害系
消費者向けの投資や、物の購入、消費者被害のケースに多いですが、
消費者にかなり不利になっているものがあります。
消費者契約法や特定商取引法などで是正できるものもあります。
これらはあくまで一例ですが、本来弁護士が契約書の作成や、契約書のチェックに
関与すべきなのに、なされていないケースはよくあります。
これは、契約書が必要ではないかと思った場合、
または、契約書に署名するのに、不安に思った場合、
弁護士に相談してみることをお勧めします。