京都弁護士会 公害対策・環境保全委員会、弁護士会照会審査室、出会い系サイト被害対策弁護団
東京で約2年、京都で約2年の実務経験後に当事務所を開業して5年が過ぎました。この間、弁護士を取り巻く環境は大きく変化しました。
金融機関がますます成長し収益を拡大させる一方で、国内市場の飽和や海外移転による国際競争の激化、資本の集中と企業の大規模化・寡占化、中小企業の競争の激化、国債の増加、租税や社会保険等の増加、少子化・高齢化、所得格差の拡大など、企業間の競争が強まり、国民の経済的負担感も高まってきています。
また、情報システムの発達による情報の集中と伝達の高度化、都市への集中と集落の過疎化、家庭環境・居住環境の変化や伝統的価値観の揺らぎによる価値観の多様化、一人一人の生命や人権尊重の観念の普及、人間関係の希薄化などを背景に、人間関係や経済的関係を取り持つものとして、共通の規範となる「法律」に対し、ますますの期待や思いが寄せられつつある状況にあると言えます。
そのような中、弁護士人口の急速な増大、日本司法支援センター(法テラス)による弁護士費用の下落と事実上の公定化、弁護士広告の解禁と弁護士事務所の法人化・大規模化、法科大学院制度の創設及び司法修習生に対する給費制の廃止による多額の負債を抱えた弁護士の増加、弁護士保険の導入等は、これまでの「弁護士」像を変化させ、業務の効率化や弁護士に対するアクセシビリティをもたらす半面、均質、大量、規格的処理による弊害をもたらすおそれも生んでいます。
法律や裁判制度は、物質的・経済的な獲得・救済、身分関係や社会的関係の変更・解消にとって、戦略的かつ総合的に判断して用いることにより、非常に強力な手段であり、大きな効果をもたらすものです。他方で、法律や裁判では割り切れない義理人情、助け合いや親愛の情、人生設計や長期的・広い視野に立った場合の問題解決とうまく調和させ、その人の生存・生活、企業の信用・存続にとって何が最善かを常に考え続ける必要があります。
当事務所は、フットワークの軽い少数精鋭の事務所であることの強みを生かし、できる限り効率化やアクセシビリティの要請に応えつつも、常に、一つ一つの事件を丁寧に、親身になってアドバイスを行い、多数の専門家と提携して、最善のクオリティを追及し、事件を遂行することを心掛けてゆきたいと考えます。