大阪日日新聞に掲載されました(2)。
10月11日の大阪日日新聞に、当事務所弁護士作成の、以下の記事が掲載されましたので、お知らせします。
大阪日日新聞R011011
こちら街角弁護士相談室
【質問】
自分が死んだ後に財産を分けるため、遺言を作ろうと思います。自分で書こうと思いますが、公正証書にする方法もあると聞きました。どちらの方法がよいですか?
【お答え】
遺言(いごん)には、本人が自筆する手書きの遺言と、公証人役場で公正証書を作成する方法があります(それ以外にもありますが、ここでは省略します)。
そして、大事な遺言であれば、公証人役場で、公正証書にしておくことを強く勧めます。
その理由は次のとおりです。
遺言が活用されるのは、あなたの死後のことです。
ですから、自筆の場合、本当にあなたが書いたかどうか、そのときあなたがどんな状態だったか、いつ書いたのか、証明してくれる人が、誰もいないおそれがあります。
もちろん、誰かに託しておく方法もありますが、その方が今後ずっと明確に証言できる状態にあるとも限らないわけです。
公正証書の場合、証人2名立ち会いのもと、公証人という公務員が確認して、公文書として作成しますので、本人のものかどうか争われるおそれが格段に低くなります。
せっかく書いた遺言が、それが有効かどうかをめぐって、あとあとかえって争いの種となっては、何にもならないわけです。
では、自筆の遺言の使い道はないのでしょうか?
自筆の遺言のメリットは即時性、つまりすぐに作ることができるという点にあります。
公正証書を作るには、公証人役場に電話で予約したり、必要な書類を準備するのに何日もかかりますので、それまでの間、万一にそなえて一時的に作成しておくもの、としては使えると思います。
ただし、自筆の遺言は日付の記載や署名押印が必要とされるなど、法律上の細かい要件を満たしていなければ無効となってしまいますので、十分注意しましょう。
安達悠司(安達法律事務所・京都弁護士会所属)
大阪日日新聞に連載されました!
大阪日日新聞(令和元年6月28日)の「こちら弁護士街角相談室」に以下の記事が連載されました。
質問
身に覚えのない請求が来ましたが、支払期限が迫っています。すぐに連絡して、支払ったほうがよいですか。
回答
身に覚えのない請求は、たとえ期限が迫っていても、一切支払う必要がありません。
よくあるのが、インターネットサイト上での架空の請求画面、会社の名を騙ったメールによる架空請求、「裁判センター」など架空の機関による訴訟通知はがき等です。
法律上、契約が成立するのは、申込みに対し、承諾の意思表示をした場合です。したがって、原則として、自分が申込みや承諾をした覚えがないのに、契約が成立するということはありません(相続など例外はありますが、それは別に対処の方法があります。)。特に、相手方が聞いたこともないような会社で、身に覚えがない場合は、架空請求である可能性が高いので、十分注意してください。
また、amazonやappleなど聞いたことがある会社でも、全く身に覚えがない場合、その名を騙っている会社からの架空請求のケースもありますので、公式サイト等で、正式な窓口に問い合わせをしましょう。
さらに、「裁判センター」という架空の機関から、あなたに訴訟が起こされているというはがきが届いたケースもあります。弁護士が見ればすぐ真偽が分かりますが、普通は「裁判」というだけで驚いてしまいがちです。落ち着いて、裁判所の正式な連絡先を調べ、真偽を確認してみることが重要です。
家族が関わっているかもしれないなら、まずは家族に直接尋ねましょう。判断に迷う場合は、お近くの弁護士に相談するのが最も確実です。最近は無料相談ができる場所も多くありますので、ぜひご利用ください。
安達悠司(安達法律事務所・京都弁護士会所属)
泉本宅朗弁護士退所のお知らせ
さて、このたび、本年12月末日をもって、当事務所で勤務していた泉本宅朗弁護士が大阪市内で独立開業のため退所することとなりました。
もともと、交通事故の事件を中心に大阪での5年間の経験を積んでおり、当事務所には1年間という短い期間でしたが、大変温厚・誠実な人柄で、交通事故だけでない様々な事件について、丁寧で真面目に相談・事件処理に取り組まれました。
当事務所での様々な事件の経験を通じ、また、大阪から相談される依頼も多くあり、独立開業に踏み切る決意に至ったとのことで、弁護士として業務の幅を広げ、ますますこれからの活躍が期待されます。
今後とも皆様の変わらぬ支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
以下、泉本弁護士の挨拶文を掲載します。
京都弁護士会に入会させていただいて1年足らず、短い期間でしたが、この度安達悠司弁護士のお許しのもと、慣れ親しんだ大阪の地に再び戻り、来年1月より開業の運びとなりました。
幅広い分野についての経験をさせていただくことで、独立に向けての自信もつきました。京都に移った後も大阪方面からの相談が少なくないため、独立開業を決意した次第ですが、この1年で学ばせていただいたことを少しでも活かすことで、お世話になりました京都の皆様方へのご恩返しをさせていただけるよう精進を続けたいと思います。
京都弁護士会の諸先生方、事務局の方々、本当に有難うございました。皆様方の益々のご壮健とご発展をお祈りしつつ、退会の挨拶とさせていただきます。
平成29年12月吉日
〒542‐0012
大阪市中央区谷町六丁目6‐7 第五松屋ビル611号
星のしるべ法律事務所
弁護士 泉 本 宅 朗
年末年始休業のお知らせ
皆様
いつも当事務所をご愛顧いただきありがとうございます。
当事務所は、年末年始の次の期間、休業致します。
平成29年12月28日(木)~平成30年1月8日(月)
新年の受付は、平成30年1月9日(火)から開始します。
宜しくお願い致します。
土地の「境界」の問題はなぜわかりにくいのか
土地の「境界」の問題について、弁護士が相談を受けることもしばしばあります。
そして、境界の問題は、話が分かりにくくなる傾向にあります。
これは、「境界」という言葉の意味が、2つあるからです。
① 筆界・・・明治時代に、近代所有権制度ができて、
土地が分けられたときの境界。これを原始筆界といいます。
または、その後、新たに「分筆」して形成されたときの境界。
これらの境界は、あとで勝手に動くことはありません。
建物を建てようが、塀をつくろうが、穴をほろうが、何をしようが、
動きません。
土地を分筆した境として、法務局備え付けの地図(公図)に
記録されているものです。
② 所有権界・・・お互いの所有権の範囲の境です。
それぞれの所有権の範囲は、ふつうは、土地の「筆界」と一致
しますが、これは、様々な原因により、動くことがあります。
所有権界は、記録されていません。
ふつう、境界の問題というと、2人の所有権がそれぞれどこまでか?が一番問題
ですので、②の所有権界の話をテーマにしがちです。
しかし、専門家は、まず、①の筆界を確定 → ②の所有権界を確定
というプロセスをたどります。
したがって、まずは①の筆界が、土地の現場でどこにあるのか?を考えます。
筆界の判定は、歴史的な検証作業です。
つまり、原始筆界であれば、「明治時代に引かれた線はどこだったのか?」
というある意味考古学的な探求を行うわけです。
この探求は、登記図簿(法務局にある資料)の調査がまず第一であり、
次いで、その他の文献、図面、航空写真、そして、現地にある境界標識や
地形地物、古老の証言などが問題となります。
ですので、専門家の思考プロセスと、一般の方が考える思考プロセスが
少し違うのです。
そうして、①の筆界が特定されると、こんどは、②の所有権界がどこにあるか
という議論に入ります。
これは、基本的には筆界のとおりであると考えられるわけですが、
その後の占有事情の変化によっては、所有権界が筆界と異なっている
場合があります。
専門家は、このような用語の問題についても説明させていただきますが、
境界の問題の場合、特に、専門家の思考のプロセスが違っているんだ、
ということに気付いていただけると、理解がしやすいかもしれません。
こうした境界の問題は、ほとんどの場合、土地家屋調査士の専門分野ですが、
紛争性のある場合は、土地家屋調査士の先生とともに事件を担当させて
いただくことになります。
境界の問題は、最初は分かりにくいですが、
その土地の歴史的な変遷推移をすることができたり、
思わぬ発見がある、興味深い分野なのです。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。